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DATA - 検証更新 2026-09-23 シェア Discordで話す

ブランクは、代償を払うか

「休むと弱くなる」を、ほとんどの人が信じています。17,963試合で確かめました。

錆びるのか

長く休んだ選手は復帰戦で負ける——ファンも解説も、たいていそう言います。数字も、最初はそれを裏づけます。

対象は17,963試合。両者ともその時点で十分な戦績を持ち、決着した試合です。引き分け608件と、両者のレートが完全に一致する14件は除いています。下の表は選手側から見た35,594行で、一つの試合が両コーナー分の二行になります。行数は試合数ではありません。

前の試合から勝率行数
0〜3か月52.0%8,710
3〜6か月52.5%13,284
6〜12か月49.9%9,699
12〜24か月42.1%3,019
24か月以上33.9%882

直前の試合から間が短ければ52.0%(8,710行)。長く空けると33.9%(882行)。18.1ポイントの落差です。信じられている話と、きれいに一致します。

しかし、それは選抜です

休んだ選手が誰と戦っているかを見ます。下は、その選手のレートから相手のレートを引いた平均です。

前の試合から平均レート差行数
0〜3か月+27.38,710
3〜6か月+15.713,284
6〜12か月-0.49,699
12〜24か月-42.13,019
24か月以上-163.5882

間が短ければ+27.3——わずかに格上です。長く空けると-163.5。符号が変わるだけでなく、大きく動きます。二年空けて戻ってくる選手は、その時点で相手よりはるか格下と評価されている。負けるのは休んだからではなく、格下だからです。

レートを揃える

では、同じくらい格上どうしで比べます。以下は一試合につき一行で、その試合でレートが上だった側だけを取り出し、その側が休み明けだったかどうかで分けています。

前の試合から格上の勝率試合数
0〜3か月64.2%4,598
3〜6か月62.2%6,836
6〜12か月59.1%4,892
12〜24か月55.5%1,348
24か月以上55.4%289

64.2%(4,598試合)から55.4%(289試合)へ。18.1ポイントあった落差は8.8ポイントに縮みます。素の数字の大半は、相手選びと本人の力量で説明がついた。それでも、まだ何か残っています。

残ったものは、僅差の試合にしかない

残りの8.8ポイントが、どの試合で出ているか。レート差の小さい接戦と、レート差の大きい試合に分けます。

前の試合から接戦での勝率試合数大差での勝率試合数
0〜3か月53.5%80074.6%1,798
3〜6か月52.2%1,45973.9%2,101
6〜12か月49.9%1,08870.7%1,373
12〜24か月46.7%28765.9%410
24か月以上41.1%5672.0%107

接戦では53.5%から41.1%へ、はっきり落ちます。大差では74.6%から72.0%——ほとんど動きません。大差の格上は、鈍っていても勝ち切る。ただし一番長い帯の接戦側は56試合しかなく、確かめられていないと読むべきです。

そして、長いほど悪いわけでもない

錆が積もるモデルなら、休みが長いほど単調に悪くなるはずです。細かく切って見ます(格上側のみ)。

前の試合から格上の勝率試合数
0〜6か月63.0%11,434
6〜12か月59.1%4,892
12〜18か月55.3%1,033
18〜24か月56.2%315
24〜30か月57.5%127
30か月以上53.7%162

最初の三帯は落ちます。そこから先は55.3%・56.2%・57.5%・53.7%で、上下しています。しかも315試合・127試合という薄さです。「長いほど悪い」とは言えません。

測り方を変える

ここまでは勝率だけを見てきました。別の見方があります——このサイト自身がその試合の前に出していた予測勝率と比べる。予測が当たっていれば、レートは休みのことを既に知っていることになります。

前の試合から予測実際差行数
0〜3か月51.2%52.0%+0.88,710
3〜6か月51.0%52.5%+1.613,284
6〜12か月50.0%49.9%-0.29,699
12〜24か月47.7%42.1%-5.73,019
24か月以上41.1%33.9%-7.2882

間が短ければ+0.8ポイント。長く空けると-5.7、さらに-7.2。予測が実際を上回っています。

これがモデルの平均的なぶれではないことを確かめます。同じ行を、休みと無関係な基準で無作為に二つに割ると、+0.2(17,922行)と-0.1(17,672行)——開きは0.3ポイントです。休み帯どうしの開きは8.8ポイント、およそ29倍。対象年と最低戦数を変えた六通りでも、一番長い帯のずれは-7.2から-12.0で、符号は一度も変わりません。

不確実性と、衰えは違う

このレートは、試合が無い期間に「確からしさ」を落としていきます。長く休んだ選手は、強いとも弱いとも言い切れない状態に戻る。確からしさが下がると、予測は五分五分へ近づきます。

つまりモデルは、休んだ選手について「わからなくなった」と言っていたのです。現実の答えは違いました。わからなくなったのではなく、弱くなっていた。

不確実性と衰えは、同じ方向を向いていません。前者は予測を真ん中へ寄せ、後者は結果を片側へ寄せる。このレートは前者しか持っていないので、休み明けの選手を構造的に買いかぶります。ここが、この記事でいちばん言いたいことです。

二つの表は、同じことを言っていません

混同しやすいので明示します。「勝率」と「予測とのずれ」は別の量です。

長い帯で勝率が下げ止まって見えるのは、格上側だけを見ているからです。二年休んでもなお相手より格上と評価される選手は、それ自体が特別な集団です。一方、ずれのほうは全行で測っていて、長い帯でも広がり続けます。片方が平らで、もう片方が下がる——矛盾ではなく、違うものを数えています。

言えないこと

残った差を「リングさび」と呼ぶことはできません。年齢も、怪我も、階級変更も測っていないからです。長く休む選手はその分だけ年を取り、多くは怪我明けで、階級を動かしていることもある。ここにあるのはその合計であって、内訳ではありません。

一番長い帯はどの表でも薄く、格上側で289試合、条件をいちばん厳しくした場合で152試合です。桁が動くほどの薄さではありませんが、小数点以下を真に受ける厚みでもありません。

最後に、使い方のほうを置いておきます。このサイトで長期離脱明けの選手のレートを見るときは、その数字は甘いと思ってください。モデルは休養を「わからない」に変換しますが、現実の答えは「弱くなった」でした。ここで測った範囲では、一番長い帯で予測が実際を7.2ポイント上回っています。表示されているレートは、その分だけ差し引いて読むのが安全です。

本稿の数値は 2026年9月23日 時点のデータに基づきます。データは毎週更新されるため、最新の集計とは末尾の桁が異なる場合があります。